隷の星

SF作品の二次小説のブログです。

Alone in the Dark

あとがき

ご愛読ありがとうございました。今回は装甲騎兵ボトムズでの懐かしい作品です。今回ボトムズの同人誌「LIMBO!」に収録していた小説を、リライトしました。1987年発行の本ですから、実に28年ぶりに書き直したことになります。PART1の部分は…

PART2 8

「ウォォォォォーーーーーーッ!」 イプシロンのATの魔のついたような動きに、今またグレゴルーが犠牲になった。キリコはPSの血を求めるかのような攻撃に、心底から打ちのめされながらも、冷え切った心で考えていた。PSには幻想を見るべきではない、あ…

PART2 7

翌朝は雨だった。酸の雨が、待機しているATの機体を鉄錆色に染めてゆく。 「夜まで待つ。レッドショルダーがいるとすれば、少しでも手を打っておく必要があるからな。」 グレゴルーは言った。キリコらは施設の地下構内への入り口付近に潜伏することにした。…

PART2 6

キリコは目の前でパチパチとはぜる火の粉のゆらめきを見詰めていた。軍用缶詰の貧しい食事をもそもそとスプーンでつつきながら、さっきから誰一人として口を開こうとしない。忘れてしまいたい過去の傷跡が、またパックリと口を開いて闇の中のそこにあるよう…

PART2 5

ポローから長々とした叱責を受けた後、フィアナは呼ばれてペールゼンの執務室を訪れた。組織にあてがわれたペールゼンの部屋は、簡素で落ち着いたインテリアの部屋である。壁にはいくつかRS部隊の写真が飾られているが、それらはキリコ個人を認められるよ…

PART2 4

「起きて、イプシロン。起きるのよ。さあ、起きて。」 「―――・・・・・。」 先程ペールゼンと言葉を交わしたファンタム・レディ、またはプロト・ワンと呼ばれる美女が、――先ほどは少女と表現したが、それは齢七十以上にもなろうというペールゼンにとっては、…

PART2 3

キリコらを乗せたトレーラーは、一路東へと奔走していた。キリコの肩から瞳に、朝の陽光がゆっくりと差し込んでくる。ブルーの瞳がターコイズカラーにゆっくりと変化していく。キリコは考えていた。 ―――フィアナ、おまえに逢うためにはこれしかないらしい。…

PART2 2

「・・・・従って彼の教育は、すべてコンピューターからマイクロ・インプットされたプログラムによって行います。プログラムは人間の基本的な四つの精神構造によって分けられております。すなわち、知性・理性・経験・感情、この四つの分野におきまして分散…

PART2 1

「―――フォー・カード。わるいなあ、ムーザ。」 バイマンは義手がわからぬように、器用な手つきで左手にカードを持ち替えると、テーブルの上に一枚ずつ並べた。対戦するムーザは一瞬むっとした顔になったが、ゲーム自体は暇つぶしでしかなく、すぐに椅子にも…

PART1 3

それからの月日は、ペールゼンにとっては昨日の事のように思える。少年は彼の期待に応えた。三か月で少年は共通ギルガメス語と母バララント語をマスターした。ペールゼンは少年にナイフの代わりに拳銃を使うことを教えた。獲物を、目標を破壊した後でも安心…

PART1 2

ペールゼンは目の前を無表情に行進する部隊を、厳しい面持ちで眺めていた。今年でもう四年目に入る。これが私の最高作で最後の作品になる。別に自負するわけでもなく、彼は最近はそう思う事が多い。この季節になると、持病のリュウマチが痛む。一度体の中で…

PART1 1

窓の外では冷たい風に、背の高いハンの木が、めっきり葉の少なくなったこずえを震わせていた。 「・・・・――――もうすぐ終わりなんだってな。」 バイマンは、窓ガラス越しにほこりくさい運動場を見詰めて、となえるようにつぶやいた。ところどころに白線がと…